最終更新:2026年9月18日
このページの立場
本ページは、Vrew(ブリュー)が公式サイトで公表している情報を引用・整理したものです。優劣を比較するものではなく、公式に確認できない仕様やセキュリティ上の問題を推測で書くことはしていません。確認できなかった項目は「確認できませんでした」と明記しています。記載は最終更新時点のもので、提供元の仕様や規約は変更されることがあります。判断の前に必ずVrewの公式サイトの最新の記載をご確認ください。Vrewは VoyagerX, Inc.(ボイジャーエックス)の提供するAI動画編集ソフトです。
まず整理する:音声はどこへ行くのか
「Vrewは安全ですか」という検索の裏にあるのは、たいていこの問いです。自分が読み込ませた会議の録音や動画の音声は、どこへ渡り、どこに残り、誰が使えるのか。
Vrewは本来、字幕を自動生成して動画をテキストのように編集するための動画編集ソフトです。ただし公式サイト自身が「インタビューの録音データも音声分析で簡単に文字起こしして、要約できます」と案内しているとおり、日本では会議録音の文字起こしツールとしても広く使われています。ここで見落とされやすいのが、Vrewは「PCにインストールして使う製品」でありながら、音声認識(Vrewの呼び方では「音声分析」)はPCの中では行われないという点です。個人情報処理方針には、音声分析機能の提供のためにGoogle LLCとAmazon Web Services, Inc.のSTT(音声認識)APIを使用すること、音声分析やAI生成などの主要機能が国外のクラウドインフラとAIエンジンに基づいて提供されることが明記されています。
これは欠陥ではなく設計です。サーバー側の音声認識エンジンを使うから、PCの性能に依存せず、長い動画でも一定の精度と速度で字幕がつき、翻訳や要約とも連携できます。代わりに、音声が端末の外に出るという事実が必ず伴います。「デスクトップアプリだから手元で処理されているはず」という思い込みは、ここで一度はずしておく必要があります。
したがって確認すべきことは3つに絞られます。
- どこへ送られ、どこに保管されるか(国内か国外か、暗号化されているか、いつ消えるか)
- 学習に使われるか(使われるとしたらどのプランで)
- そもそも外に出してよい音声か(自社の規程・守秘義務の側の問題)
1と2は公表情報で確認できます。3だけは、どのサービスを選んでも自分で判断するしかありません。以下では1と2を公式の記載から拾い、そのうえで3の判断材料を示します。リスクの所在そのものの整理は文字起こしセキュリティガイドにまとめています。
公式サイトで確認できたこと
以下は、Vrewの公式サイト(日本語)に記載されている内容です。要約はしていますが、意味を変えないようにしています。出典は各行のリンク先です。なお、個人情報処理方針・利用規約はいずれも韓国語版が正本で、日本語版と食い違う場合は韓国語版が優先すると明記されています。
| 項目 | 公式サイトの記載 | 出典 |
|---|---|---|
| 運営会社 | VoyagerX, Inc.(ボイジャーエックス)。代表者ナム・セドン。所在地は大韓民国ソウル特別市瑞草区。事業内容としてAI動画編集ソフト「Vrew」の開発・運営などが挙げられています。特定商取引法に基づく表記では、Vrewは「お使いのPCにインストールして使う製品」とされています。 | 会社概要/特定商取引法に基づく表記 |
| サービスの位置づけ | 利用規約で「人工知能技術を通じて音声を認識して自動字幕を生成する機能、テキスト入力による音声合成機能、音声生成機能、クラウドサービス機能などを提供する動画編集ソフト」と定義。無料サービスと有料サービスに分かれるとされています。 | 利用規約 |
| 音声分析(文字起こし)の処理場所 | 「音声分析機能を提供するため、Google LLC、Amazon Web Services, Inc.が提供するSTT APIを使用します」と記載。また「Vrewサービスの主要機能(音声分析、AI生成など)が国外のクラウドインフラ及びAIエンジンに基づいて提供されるため、移転を拒否する場合、サービス利用が制限されるか不可能となる場合があります」とされています。データ保護ページでは「文字起こしなどのAI機能は、安全な隔離環境の中で処理され、外部や社内での再利用が起こらないよう設計されています」と説明されています。 | 個人情報処理方針/データ保護 |
| 国外委託先と移転する情報 | 「当社は、個人情報を国外の他の事業者に提供しません」としつつ、個人情報処理業務を国外に委託していると記載。Google LLC(アメリカ)には「ソーシャルログイン連動システムの運営、ユーザー行動分析、音声分析」、Amazon Web Services, Inc.(アメリカ)には「データ保管及びサービスインフラ提供、音声分析」の目的で委託。字幕翻訳はGoogle LLC・XL8 Inc.、テキスト生成・要約はOpenAI、Vrewエージェントのテキスト分析はAnthropic PBCなどが列挙されています。 | 個人情報処理方針 |
| 音声ファイルの保持期間 | 「音声分析機能の提供」のために処理する「音声情報ファイル」の処理・保有期間は「音声分析及び字幕ファイルの生成完了後24時間」と記載(利用者の同意を得て処理する項目)。 | 個人情報処理方針 |
| クラウド保存したプロジェクトの保持期間 | 「個人用クラウドサービスの提供」のために処理する「Vrewプロジェクトファイル、プロジェクト内の写真、動画、音声等のコンテンツ」は「利用契約の解除日から120日間保管後削除」。利用者から要請があった場合は直ちに削除するとされています。当社はクラウドインフラ提供者として安全な保管のための技術的措置のみを行い、同意なしに内容を任意に閲覧・分析しないとも記載されています。 | 個人情報処理方針 |
| 音声・コンテンツの学習利用 | データ保護ページに「お客様のクリエイティブコンテンツをAI学習に利用することは決してありません」「製品開発やモデル改良、社内テストなどの目的で、お客様のコンテンツを分析することもありません(明確な同意をいただいた場合を除きます)」と記載。個人情報処理方針でも「プロジェクトファイル及びプロジェクトに含まれるコンテンツを学習のために使用せず」「利用者の音声データを当社のAIエンジンの性能改善のための学習データとして使用しません」とされています。 | データ保護/個人情報処理方針 |
| 通信・保存時の暗号化とアクセス制御 | 「デバイスとサーバー間の通信はTLSによって暗号化され、保存データは強力な暗号化プロトコルにより保護されています」と記載。内部システムへのアクセスは多要素認証とロールベースのアクセス制御で認可された担当者に限定し、機密データへのアクセスはすべて記録・監視、社内管理者であっても利用者の明示的な許可なくコンテンツにアクセスできないとされています。 | データ保護 |
| 第三者認証 | ISO/IEC 27001:2022(情報セキュリティマネジメントシステム)とISO/IEC 27701:2019(個人情報保護マネジメントシステム)を取得(トップページではSGSによる認証と記載)。「認証書の資料は、ご請求に応じて提供いたします」とされています。 | データ保護/トップページ |
| 保管インフラ | アカウント作成時に収集した情報は「AWS及びFirebaseのデータベースに二重で保管」。統計情報や同意を得て収集した個人情報はGoogle Cloud Platform・FirebaseおよびAWSに送信され、処理・保存されるとされています。 | 個人情報処理方針 |
| 準拠法・正本 | サービスは大韓民国の法令により提供・運営され、個人情報処理方針・利用規約はいずれも韓国語版が正本。紛争は大韓民国の法律により規律されるとされています。 | 個人情報処理方針/利用規約 |
| プラン構成と法人利用 | 料金プランはFree・Light・Standard・Businessの4種類で、音声分析はクレジット消費制(選択したモデルに応じて1分あたり1〜5クレジット)。Freeプランの利用量は毎月1日にリセットされ、音声分析時間の追加購入も可能。Businessプランは「法人・企業・団体・機関向けプラン」とされ、法人・企業・団体・機関のユーザーはビジネスプランを利用する必要がある旨が案内されています。 | 料金プラン |
※ 上表は最終更新時点で公式サイトに掲載されていた記載にもとづく整理です。金額・プラン構成・機能の提供状況・委託先は変更されることがあります。
ここまで読むと分かるとおり、「対策がされていないから危ない」という話ではありません。認証も暗号化も、学習に使わない方針も、音声ファイルを24時間で削除する規定も公表されています。それでも社内で止まる理由は、次の2点に集約されます。ひとつは、音声認識が国外のクラウド(米国事業者のSTT API)で行われるという構造そのもの。もうひとつは、公開情報だけでは埋まらない審査項目があることです。
公式サイトでは確認できなかったこと
導入審査でよく問われるのに、公式サイト上で明確な記載を確認できなかった項目です。「書かれていない=問題がある」ではありません。公開の場ではなく、企業問い合わせ窓口や認証書の請求を通じて案内している可能性があります。
| 審査で問われる項目 | 状況 |
|---|---|
| データセンターの所在国(リージョン) | AWS・Google Cloud Platform・Firebaseに保管する旨と、米国法人への国外委託は記載されていますが、データが物理的にどの国のリージョンに置かれるかを示す記載は確認できませんでした。 |
| 端末内だけで音声認識を完結させる設定・モード | 公式サイト上では確認できませんでした。音声分析は国外のクラウドインフラとSTT APIに基づいて提供されると記載されています。 |
| 音声分析を担うSTT API提供元(Google LLC・Amazon Web Services, Inc.)側でのデータ保持・学習の扱い | テキスト生成のOpenAIやテキスト分析のAnthropic PBCについては「サービス提供中に使用された利用者のデータを保存又は学習しません」と明記されていますが、音声分析に使うSTT APIについて同等の文言は確認できませんでした。 |
| プランによるデータ取扱いの違い | データ保護ページ・個人情報処理方針の記載はプランを区別していません。Businessプランで追加のセキュリティ条件や契約(DPAなど)が提供されるかは確認できませんでした。 |
| PC上にだけ保存したプロジェクトファイルの扱い | 保持期間の規定はクラウド保存分と音声分析用の音声情報ファイルについてのものです。ローカル保存分がサーバーへ同期されるか否かを明記した記載は確認できませんでした。 |
| ISO/IEC 27001・27701以外の認証(SOC 2など) | 公式サイト上では確認できませんでした。 |
| 保存データの暗号化方式の具体(アルゴリズム・鍵管理) | 「強力な暗号化プロトコル」との記載にとどまり、方式の具体は確認できませんでした。 |
データ保護ページには、認証書の資料を請求に応じて提供する旨と、データの取り扱いに関する問い合わせ先が案内されています。上記のような項目を稟議で示す必要がある場合は、まず認証書を取り寄せ、足りない項目を提供元に直接確認するのが最短です。
いちばん効くのは「自分のプランの条文を読む」こと
クラウド型の文字起こしサービスでもっとも扱いが分かれるのが学習利用と送信先です。Vrewの場合、学習利用については公式の記載がプランを区別せず「使わない」と明記しているため、ここで迷う余地は小さいと言えます。
そのぶん条文で押さえるべきなのは、送信先と保持期間です。個人情報処理方針の第1条には音声情報ファイルの保有期間(生成完了後24時間)とクラウドプロジェクトの保有期間(契約解除日から120日)が、第3条には国外委託先の一覧と「移転を拒否する場合、サービス利用が制限されるか不可能となる場合があります」という条件が、それぞれ書かれています。つまり「音声を国外のクラウドに送ることを受け入れられるか」が、Vrewを業務で使えるかどうかの実質的な分岐点になります。
もうひとつ、法人で使う場合はプランの条件があります。料金プランページでは、法人・企業・団体・機関のユーザーはBusinessプランを利用する必要がある旨が案内されています。無料で試したときの条件と、法人契約後の条件が同じとは限らない、という一般則がここでも当てはまります。確認の手順はシンプルです。
- 自分(自社)が実際に使うプラン名を確定する(法人ならBusinessプランが前提になります)。
- そのプランについて、送信先・保持期間・学習利用の有無を個人情報処理方針とデータ保護ページの条文で確認する。読み取れなければ提供元に問い合わせる。
- 回答を文書で残す。稟議・監査で必要になるのは口頭の説明ではなく記録です。認証書の請求もこの段階で済ませておくと二度手間になりません。
この3ステップは、どのクラウド型サービスを選ぶ場合でも共通です。クラウド型を使う前に確認する7項目もあわせてご覧ください。
そのまま使って問題ない条件
次のすべてに当てはまるなら、Vrewを使い続けることに合理性があります。無理に方式を変える必要はありません。
- 音声の内容が、国外の事業者に預けても差し支えない:公開予定のYouTube動画や社内向けマニュアル動画の字幕付け、公開前提の講演録、自分用のメモ、公開予定のインタビューなど。
- 社内規程で、業務データの外部サービス利用と国外への移転が許可されている(あるいは申請して承認が取れる)。
- 要配慮個人情報や、法律上の守秘義務がかかる会話を含まない。
- 法人利用なら、Businessプランの条件を確認済みで、その条件を受け入れられる。
- クラウド保存や共有リンクを使う場合、公開範囲と削除の運用がある。
この条件下では、Vrewの利点(字幕付けとカット編集が一体で速い、翻訳・要約・AI音声と連携できる、無料で始められる)がそのまま効きます。安全性を理由に乗り換える必然性はありません。
手元で処理する選択肢を検討したい条件
逆に、次のいずれかに当てはまるなら、対策の水準にかかわらず「外部送信そのものが認められない」ため、端末内で完結する方式を選択肢に入れる価値があります。
- 社内規程・契約で、音声や議事録の外部送信や国外移転が禁止されている:クラウド利用が原則禁止の情シス管轄、官公庁・金融・製造の一部の現場など。
- 法律上の守秘義務がある会話を扱う:弁護士・司法書士・税理士などの相談記録、医師の診療内容。
- 要配慮個人情報を含む:病歴、障害、犯罪被害の事実など。取得段階から慎重な扱いが必要です。
- 顧客との契約書に、第三者へのデータ提供や国外移転を禁じる条項がある:委託先の再委託が問題になるケース。
- 審査で「送信先」「保管期間」「学習利用」を毎回説明するコストが重い:端末内で完結する方式なら、これらは「該当なし」で説明が終わります。
- ネットワークが遮断された環境で使う必要がある:閉域網の端末、持ち出し用のノートPCなど。音声分析はクラウドで提供されるため、オフラインでは前提が成り立ちません。
ここで重要なのは、これは優劣の話ではないということです。「対策を講じている」ことと「そもそも該当しない」ことは、監査に対する説明の性質が違うだけです。前者で通る組織もあれば、後者しか通らない組織もあります。
使い分けという落としどころ
実務でいちばん多い着地は、乗り換えではなく使い分けです。Vrewは動画編集ソフトとしての強みがはっきりしているので、字幕付きの動画を作る用途はそのまま残し、文字起こしだけが目的で外に出せない音声を別の方式に回す、という切り分けが自然です。
| 音声の種類 | 現実的な処理方法 |
|---|---|
| 公開予定の動画・社内マニュアル動画の字幕付け | Vrewのまま。字幕生成と編集が一体で進む強みが効く |
| 社内定例・勉強会・公開前提の講演 | Vrewのまま。ただし共有リンクの公開範囲は別途管理 |
| 取材・インタビュー(公開予定) | Vrewのまま。ただし公開前の原稿の扱いは別途管理 |
| 人事面談・評価会議 | 端末内で完結する方式に寄せる |
| 顧客の相談・診療・法務相談 | 端末内で完結する方式に寄せる |
| 取引先との契約交渉 | 契約条項(国外移転の可否を含む)を確認したうえで判断。不明なら端末内 |
ツールを1本に統一することよりも、「外に出してはいけない音声が、確実に外に出ない状態」をつくるほうが監査上も説明しやすくなります。ちなみに、文字起こしを端末内で行っても、要約だけクラウドの生成AIに貼り付けると、そこで本文が外に出ます。ここは見落とされやすい経路です(ローカルAI要約ガイド)。
端末内で完結させる場合の選択肢
「手元で処理する」を選ぶ場合、選択肢は大きく2つです。オープンソースの音声認識を自分で環境構築して動かすか、それを組み込んだソフトを使うか。前者の手順と必要なものはローカル文字起こしガイドにまとめています。
当サイトで提供している「完全ローカル文字起こし」は後者にあたるWindows向けソフトです。事実関係のみ記載します。
- 音声・録音・テキスト・要約結果を、お客様の指示なく外部へ送信することはありません。ネットワーク未接続でも全機能が動作します。
- インストール不要(ZIPを展開するだけ)。管理者権限を必要としません。
- mp3 / wav / m4a / mp4 / mov など24のファイル形式、96言語に対応。
- 個人利用は無料。商用・法人利用は月額500円(税込)/年額5,000円(税込)、買い切り(永続ライセンス)は1ライセンス15,000円(税込)。導入検証は2週間無料、インボイス(適格請求書)に対応しています。

情報システム部門への申請に使える回答例(送信先・保管場所・学習利用・オフライン動作など)はセキュリティガイドの審査項目に、法人での導入条件は法人向けページにまとめています。
よくある質問
※ 本記事は一般的な情報であり、法的助言ではありません。具体的な事案については、自社の法務部門や弁護士など専門家にご相談ください。他社サービスの仕様・料金・規約は、当該提供元の公式情報が優先します。