文字起こしさんの安全性を、公式情報で確認する

「文字起こしさんは危ないのか」ではなく、自分の音声がどこへ行き、どこに残るかを公表されている情報で確かめる。そのうえで、そのまま使ってよい場合と、手元で処理する選択肢がある場合を分けて整理しました。

最終更新:2026年9月20日

このページの立場

本ページは、「文字起こしさん」が公式サイトで公表している情報を引用・整理したものです。優劣を比較するものではなく、公式に確認できない仕様やセキュリティ上の問題を推測で書くことはしていません。確認できなかった項目は「確認できませんでした」と明記しています。記載は最終更新時点のもので、提供元の仕様や規約は変更されることがあります。判断の前に必ず文字起こしさんの公式サイトの最新の記載をご確認ください。「文字起こしさん」は第三者が提供するサービスであり、当サイトとは関係ありません。

まず整理する:音声はどこへ行くのか

「文字起こしさんは安全ですか」という検索の裏にあるのは、たいていこの問いです。自分がアップロードした会議の音声は、どこへ渡り、どこに残り、誰が使えるのか。

文字起こしさんは、ブラウザから音声・動画・画像・PDFをアップロードして使うタイプのサービスです。登録なしでも試せるのが特徴で、その手軽さは、音声を事業者のサーバーへ送って処理する設計から来ています。これは欠陥ではありません。サーバー側の計算資源を使うから、スマートフォンからでも同じ精度で動きます。代わりに、音声が端末の外に出るという事実が必ず伴います。

したがって確認すべきことは3つに絞られます。

  1. どこに保管され、いつ消えるか
  2. 誰がそのデータを見られるか・何に使われるか
  3. そもそも外に出してよい音声か(自社の規程・守秘義務の側の問題)

1と2は公表情報で確認できます。3だけは、どのサービスを選んでも自分で判断するしかありません。以下では1と2を公式の記載から拾い、そのうえで3の判断材料を示します。リスクの所在そのものの整理は文字起こしセキュリティガイドにまとめています。

録音した音声の行き先を比べた図。クラウド型は音声を事業者のサーバーへ送って処理するため、保管先・学習利用・そもそも外に出してよい音声かの3点を確認する必要がある。端末内で完結する方式は音声が端末の外に出ないため、保管先と学習利用は「該当なし」になる
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公式サイトで確認できたこと

以下は、文字起こしさんの公式サイトに記載されている内容です。引用部分は原文のまま、それ以外は意味を変えない範囲で要約しています。出典は各行のリンク先です。

項目公式サイトの記載出典
無料で使える範囲 登録なしで3分まで、無料会員は1日10分まで文字起こしできると記載。ファイルは最大1GB・5時間までとされています。 公式トップ
データの保管場所 「保管するサーバーはGoogleCloudを利用しています。」と記載。 セキュリティについて
保管期間 非会員は1日間、無料会員は30日間、有料会員は会員が自身で履歴を削除するまで、と記載。 セキュリティについて
通信の暗号化 「当サービスでは、すべてのページがSSL/TLSで暗号化してあるので、第三者が内容を確認することはできません。」と記載。 セキュリティについて
社内でのデータの確認 「データは弊社内で一部の限られた社員によりエラーの確認や文字起こし精度の確認に利用させていただくなど、音声認識技術の向上、研究開発のための統計的データとして活用させていただくことがあります。」と記載。 セキュリティについて
公開・第三者提供 「音声内容を一般公開することや、第三者にデータや文字起こししたテキストを渡すなどの行為は決して行いません。」と記載。 セキュリティについて
AIエンジン側のログ 「文字起こしをするAIエンジン側では『ログを残さない』仕様です。」と記載。 セキュリティについて
アカウントの保護 「第三者による不正アクセスを防ぐため、二段階認証を設定できます。」と記載。 セキュリティについて
個人情報の第三者提供 あらかじめユーザーの同意を得ることなく第三者に個人情報を提供することはない旨を記載(人の生命・身体・財産の保護に必要な場合など、法令上の例外を除く)。 プライバシーポリシー

※ 上表は最終更新時点で公式サイトに掲載されていた記載にもとづく整理です。プラン構成・機能の提供状況は変更されることがあります。

ここまで読むと分かるとおり、「対策がされていないから危ない」という話ではありません。暗号化も、保管期間も、公開・第三者提供を行わない旨も公表されています。それでも社内審査で止まることがある理由は、次の2点です。

公式サイトでは確認できなかったこと

導入審査でよく問われるのに、公式サイト上で明確な記載を確認できなかった項目です。「書かれていない=問題がある」ではありません。公開の場ではなく、問い合わせ窓口で案内している可能性があります。

審査で問われる項目状況
Google Cloud のリージョン(国内か国外か)公式サイト上では確認できませんでした。越境移転の扱いを審査で問われる場合は、提供元への確認が必要です。
保管期間が過ぎたあとの削除の具体的な手順・タイミング期間の記載はありますが、その後どのように削除されるかを示す記載は確認できませんでした。
退会・アカウント削除後のデータの扱い公式サイト上では確認できませんでした。
第三者認証(ISO 27001・SOC 2・プライバシーマーク等)の取得取得を示す記載は確認できませんでした。
セキュリティチェックシートの配布配布している旨の記載は確認できませんでした。

これらを稟議で示す必要がある場合は、提供元に直接確認し、回答を文書で残すのが最短です。監査で必要になるのは口頭の説明ではなく記録です。

規約で先に読んでおきたい2つの条文

セキュリティの説明ページだけを見て判断すると、見落としやすい箇所が2つあります。どちらも利用規約に書かれています。

第4条:投稿したものを提供元が利用できる範囲

第4条には、ユーザーが作成した文章等の著作権はユーザーに留保される一方で、提供元が本サービスを利用して投稿または編集された文章・画像・映像等を利用できること、そしてユーザーが著作者人格権を行使しないことが定められています。

この形の条項は、投稿型のWebサービスでは一般的なものです。ただし、顧客との契約書に第三者へのデータ提供を禁じる条項がある場合や、取材音源のように出所の明示が問題になる素材を扱う場合は、この一文をどう読むかを先に決めておいたほうが安全です。

第6条:万一のときに戻ってくる金額

第6条「保証の否認および免責事項」には、セキュリティを含め本サービスに瑕疵がないことを明示にも黙示にも保証しない旨が記載されています。さらに、消費者契約法の適用がある場合を除いて損害賠償責任を負わず、適用がある場合も派生的な損害は除外し、通常生じうる損害については受領済みの月額利用料を上限とする旨が定められています。

これも珍しい条項ではありません。ただ、漏えいしたときの実損と、戻ってくる金額の桁がまったく違うことは、稟議に出す前に把握しておく価値があります。無償で使っている場合はなおさらです。

※ 条文の解釈は事案によって変わります。判断が必要な場合は自社の法務部門や弁護士にご相談ください。

そのまま使って問題ない条件

次のすべてに当てはまるなら、そのまま使い続けることに合理性があります。無理に方式を変える必要はありません。

この条件下では、登録なしですぐ試せる手軽さがそのまま効きます。安全性を理由に乗り換える必然性はありません。

クラウド型をそのまま使ってよい条件と、端末内で完結する方式を検討したい条件を並べた図。外部に預けても差し支えない内容で規程上も許可されているなら前者、規程や契約で外部送信が禁止されている・守秘義務や要配慮個人情報を扱う・閉域網で使うなら後者
図は横にスクロールできます

手元で処理する選択肢を検討したい条件

逆に、次のいずれかに当てはまるなら、対策の水準にかかわらず「外部送信そのものが認められない」ため、端末内で完結する方式を選択肢に入れる価値があります。

ここで重要なのは、これは優劣の話ではないということです。「対策を講じている」ことと「そもそも該当しない」ことは、監査に対する説明の性質が違うだけです。前者で通る組織もあれば、後者しか通らない組織もあります。

使い分けという落としどころ

実務でいちばん多い着地は、乗り換えではなく使い分けです。

音声の種類現実的な処理方法
社内定例・勉強会・公開前提の講演クラウド型のまま。手軽さが効く
短いボイスメモ・自分用の記録クラウド型のまま。登録なしで足りる
人事面談・評価会議端末内で完結する方式に寄せる
顧客の相談・診療・法務相談端末内で完結する方式に寄せる
公開前の取材音源第4条の読み方を確認したうえで判断。不明なら端末内

ツールを1本に統一することよりも、「外に出してはいけない音声が、確実に外に出ない状態」をつくるほうが監査上も説明しやすくなります。ちなみに、文字起こしを端末内で行っても、要約だけクラウドの生成AIに貼り付けると、そこで本文が外に出ます。ここは見落とされやすい経路です(ローカルAI要約ガイド)。

端末内で完結させる場合の選択肢

「手元で処理する」を選ぶ場合、選択肢は大きく2つです。オープンソースの音声認識を自分で環境構築して動かすか、それを組み込んだソフトを使うか。前者の手順と必要なものはローカル文字起こしガイドにまとめています。

当サイトで提供している「完全ローカル文字起こし」は後者にあたるWindows向けソフトです。事実関係のみ記載します。

音声ファイルをPC内だけで文字起こしし、結果を一覧・検索できるソフトのメイン画面
録音・文字起こし・要約をすべてPC内で完結させる例(完全ローカル文字起こし)

情報システム部門への申請に使える回答例(送信先・保管場所・学習利用・オフライン動作など)はセキュリティガイドの審査項目に、法人での導入条件は法人向けページにまとめています。ほかのサービスについても、公式情報だけを整理した個別ページを用意しています:Nottaの安全性CLOVA Noteの安全性Rimo Voiceの安全性Vrewの安全性Whisperをローカルで使う場合の安全性WhisperXをローカルで使う場合の安全性

よくある質問

安全かどうかは、扱う音声の機密度と、社内規程で音声を外部に出せるかどうかで決まります。公式のセキュリティ説明ページには、すべてのページがSSL/TLSで暗号化されていること、保管サーバーにGoogle Cloudを利用していること、二段階認証を設定できることが記載されています。一方で、音声を事業者のサーバーへ送って処理する方式である以上、外部送信そのものが規程で認められない情報には使えません。判断材料は、公式に公表されている情報と、自社の規程の両方です。

公式のセキュリティ説明ページには「データは弊社内で一部の限られた社員によりエラーの確認や文字起こし精度の確認に利用させていただくなど、音声認識技術の向上、研究開発のための統計的データとして活用させていただくことがあります」と記載されています。同じページで「音声内容を一般公開することや、第三者にデータや文字起こししたテキストを渡すなどの行為は決して行いません」「文字起こしをするAIエンジン側では『ログを残さない』仕様です」とも記載されています。つまり公開・第三者提供は明確に否定されている一方、社内での確認と統計的な活用は行われうる、という整理になります。

公式のセキュリティ説明ページに、非会員は1日間、無料会員は30日間、有料会員は会員が自身で履歴を削除するまで、と記載されています。審査で保管期間を問われる場合は、自分がどの区分で使っているかを明確にしたうえで、この記載を根拠にできます。

公式のセキュリティ説明ページには「保管するサーバーはGoogleCloudを利用しています」と記載されています。ただし、そのGoogle Cloudのリージョンが日本国内か国外かを示す記載は、最終更新時点の公式サイト上では確認できませんでした。越境移転の扱いを社内審査で説明する必要がある場合は、提供元に直接確認して回答を文書で残すことをおすすめします。

利用規約の第6条「保証の否認および免責事項」には、セキュリティを含め本サービスに瑕疵がないことを明示にも黙示にも保証しない旨が記載されています。また、消費者契約法の適用がある場合を除いて損害賠償責任を負わず、適用がある場合も派生的な損害は除外し、通常生じうる損害については受領済みの月額利用料を上限とする旨が記載されています。無償で使っている場合にどうなるかも含め、稟議で金額の話になるときは、この条文が出発点になります。

できます。実務では、公開前提の講演録や社内定例はクラウド型で手早く処理し、人事・法務・診療・顧客の相談内容など外部に出せない音声だけ端末内で完結する方式に回す、という使い分けが現実的です。ツールを1つに統一することよりも、機密度の高い音声が外に出ない状態を確実につくることのほうが、監査上も説明しやすくなります。

※ 本記事は一般的な情報であり、法的助言ではありません。具体的な事案については、自社の法務部門や弁護士など専門家にご相談ください。他社サービスの仕様・料金・規約は、当該提供元の公式情報が優先します。

送らなければ、漏れない

外に出せない音声だけ、手元で処理する。

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