最終更新:2026年11月3日
完全ローカル文字起こしの標準の文字起こしAIは、米国 OpenAI が2024年に公開した Whisper large-v3-turbo です。その後も日本語に対応した新しいAIが公開されているため、GPUのないパソコンで同じ音声を通して比べました。
(いま使っているAI)
(Cohere Transcribe)の誤り
テストに使った音声
比べた結果
文字の誤りの割合(短いほど正確)
標準・2024年
従来・2023年
2026年
| AI(開発元) | 誤り | 結果 |
|---|---|---|
| Whisper large-v3-turbo OpenAI(米国)・2024年 | 5.47% | 標準として採用 |
| Whisper large-v3 OpenAI(米国)・2023年 | 5.49% | 「従来」として選択可。誤りは turbo とほぼ同じで、時間は約2倍 |
| Cohere Transcribe Cohere(カナダ)・2026年 | 16.07% | 見送り。小さい音や会議の録音で、文が大きく抜ける |
| kotoba-whisper v2.2 Kotoba Technologies(日本) | 42.2% | 見送り。長い録音で、約30秒ごとに10秒ほど抜ける |
誤りは、正解のある9本(計7,886字)で、正解の文と比べて違う・抜けた・余分な文字の割合です(低いほど正確)。正解の無い19本でも、2つの出力を並べて抜けと繰り返しを比べました。Cohere Transcribe の処理時間は turbo の約6〜7割でしたが、会議の聞き取りやインタビューでは、出た文字が turbo の2〜4割にとどまりました(テストの条件)。
音声の種類ごとに見ると
同じ議会の挨拶(約5分)を、電話の音質・小さい音・雑音入りに加工して比べました。turbo はどの音でもほぼ変わらないのに対し、Cohere Transcribe は小さい音や雑音で誤りが大きく増えます。
4本の合計
実際の出力で比べると
台本のあるナレーションの一部です。赤い波線は聞き違い、点線の枠は文がまるごと抜けたところです(AIが出した文字をそのまま写しています)。
「Whisper」が「ウィスパー」になるような書き方の違いは、誤りとして数えていません。文がまるごと消えると、読んでも気づけないため、文字起こしでは特に困る誤りです。
同じテストに入れなかったAI
- ReazonSpeech(日本):turbo より20〜40倍速く動きます。ただ、別に行った24本のテストで文の15〜22%が抜けたため、見送りました。
- Haas-ja v1.0(2026年):開発元の比較では、公開されているAIの中で最も誤りが少ないとされています。Linux と NVIDIA の GPU でしか動かず、Windows のパソコンでは使えないため、測っていません。
- Qwen3-ASR(中国):下の公開されている比較(HEROZ)で、turbo より誤りが多い結果でした。
公開されている比較と、実際の音声での結果は違う
2026年8月に公開された11種類の比較(HEROZ Tech Blog(新しいタブで開く))では、Cohere Transcribe は FLEURS という音声のセットで誤り 2.89%(turbo は 3.88%)と、turbo より良い数字でした。一方、JSUT というセットでは 8.59% 対 7.22% で turbo が上でした。
私たちの音声では、Cohere Transcribe の誤りは turbo の約3倍でした。読み上げのような整った音声と、電話・会議・小さな声の録音では、順位が入れ替わります。そのため、新しいAIは必ず実際の業務に近い音声で測ってから判断しています。
2年前のAIが、今も一番の理由
- いろいろな音で学習しています。Whisper large-v3 は、ネット上の多様な音声を合わせて約500万時間(多くの言語の合計)で学習しています。後から出た日本語向けの公開AIは、テレビ放送や読み上げなどの整った音声が中心のものが多く、電話や会議の音声で崩れやすくなります。
- 新しいAIの多くは、別の目的で作られています。英語・速さ・話しながら出る字幕・GPU前提の大きなAIが中心で、「日本語」「GPUなし」「長い録音」「句読点つき」をすべて満たすものはほとんど出ていません。
- さらに精度の高いAIの多くは、クラウド専用です。音声を外部へ送る必要があり、パソコンの中だけで使える形では配られていません。
turbo は、large-v3 の精度をほぼ保ったまま、GPUのないパソコンでも実用的な速さで動くよう軽くしたAIです。同じAIを使っても、前後の処理で結果は大きく変わります。その工夫は文字起こし精度の根拠をご覧ください。
テストの条件
- パソコン:Intel Core i7-13620H・メモリ32GB・GPUなし(CPUだけで計測)
- 正解のある9本:地方議会の挨拶(約5分)と、それを電話の音質・小さい音・雑音入り(2段階)に加工した4本、台本のあるナレーション4本
- 正解の無い19本:自治体の会議、電話、打ち合わせ・聞き取り、約18分の画面録画
- Whisper の3つ:アプリと同じ設定(faster-whisper・int8)
- Cohere Transcribe:CPU 向けに軽くした int8 版(sherpa-onnx)。音量をそろえ、声の区間を10秒以内に区切って渡しました(試した条件の中で最も良い結果)。公式の元の重みでは結果が変わる可能性があります。
- 測定:2026年10月30日〜11月3日
よくある質問
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