公的資料の確認日:2026年10月12日/最終更新:2026年10月12日
このページの立場
本ページは、IPA(情報処理推進機構)、警察庁、個人情報保護委員会、英国のNCSC・AISIなど、公的機関が公開している資料を引用・整理したものです。特定の企業やサービスを名指しして評価することはしていません。数値や記載は各資料のとおりで、確認できなかったことは書いていません。使った数値と資料は、末尾の出典に挙げています。法的助言ではありません。
この記事の要点
- クラウド型の文字起こしでは、音声と文字起こし結果が提供元のサーバー・バックアップ・委託先に集まります。そこが破られると、全利用者分がまとめて被害に遭いうるうえ、提供元のサーバーの更新や設定を利用者の側で管理することはできません。
- 実際の漏えいは日常運用の事故のほうが起きやすい、というセキュリティガイドの整理は変わりません。サーバー侵害は、1回の規模が大きく、預けた側が手を出せない点が違います。警察庁によると、令和7年のランサムウェア被害の報告は226件で、データを盗んで公開すると脅す「二重恐喝」が大きな割合を占めています。
- IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」(組織)では、ランサム攻撃が1位、サプライチェーンや委託先を狙った攻撃が2位です。AIによる脆弱性の発見・悪用の高速化にも、各国の公的機関が注意を促しています。
- 「学習に使いません」は約束で、規約の変更・事業譲渡・委託先・法的な開示要請によって変わりえます。「そもそも持っていない」は構造で、変わりようがありません。
- 音声と文字起こし結果を提供元に預けない方式なら、提供元が攻撃を受けても、それらは漏れようがありません。ただし端末そのもののリスクは残ります。クラウド型を使うなら、9つの確認項目を事前に見てください。
審査で「提供元が攻撃を受けた場合」を問われる方へ:チェックシート回答集「G. 提供元が攻撃を受けた場合」/クラウド型の確認項目/稟議用1ページ資料(PDF)
クラウド型では、音声はどこに置かれるか
クラウド型の文字起こしでは、アップロードした音声は、提供元(または提供元が処理を任せた事業者)のサーバーで処理されます。このとき、データが残りうる場所は1か所ではありません。実際のところはサービスごとに異なるため、次の表は「確認すべき場所」の一覧として読んでください。
| 置かれうる場所 | 何が残りうるか | 利用者が確認できること |
|---|---|---|
| 本番のサーバー・ストレージ | アップロードした音声、文字起こし結果、要約、共有の設定 | 保管期間、自動削除の有無 |
| バックアップ | 削除したはずのデータが、一定期間バックアップに残ることがある | バックアップから消えるまでの期間、削除の確認方法 |
| 運用・調査用の記録(ログ) | アクセスの記録、エラー調査用の記録。サービスによっては処理内容の一部を含む場合がある | 記録の範囲と保持期間 |
| 委託先・再委託先 | 音声認識・要約・クラウド基盤などを他の事業者に任せている場合、処理のために音声やテキストが渡る | 委託先と再委託先の一覧、所在国 |
| AIの学習・改善用のデータ | 入力データをAIの改善に使うサービスでは、処理が終わったあとも別の形で残りうる | 規約の記載、オプトアウトの手段 |
| 利用者のアカウント | ログイン情報、保存済みの記録へのアクセス権 | 2段階認証、共有リンクの設定 |
IPAの「クラウドサービス安全利用の手引き」は、クラウドのセキュリティはサービス事業者と利用者が役割・責任を分担して維持するものだと説明しています。裏返すと、上の表のほとんどは提供元の側にあり、利用者が直接守ることはできません。
しかも、警察庁の報告によれば、ランサムウェアの攻撃者は侵入後に、重要なデータとバックアップを探します。データを外部へ盗み出してから暗号化し、バックアップも一緒に暗号化されることが多いとされています。本番のサーバーだけでなく、バックアップに残ったデータも、同じ攻撃の対象です。
サーバー攻撃で実際に起きること
前の表の場所に対して、公的機関の資料で報告されている主な経路は次の4つです。
① ランサムウェアによる暗号化と、盗んだデータの公開(二重恐喝)
ランサムウェアは、データを暗号化して使えなくし、元に戻す代わりに金銭を要求する不正プログラムです。警察庁は、近年の被害では、データを盗んだうえで「払わなければ公開する」と脅す二重恐喝(二重脅迫とも)が大きな割合を占め、個人情報などがダークウェブ上のリークサイトに掲載された例が多数あると説明しています。暗号化せずにデータを盗むだけで脅す手口もあり、IPAは「ノーウェアランサム」と呼んでいます。
- 令和7年のランサムウェア被害の報告は226件で、高い水準が続いています(警察庁)。被害を受けた組織は中小企業が約6割、業種では製造業が約4割で、被害は幅広い業種で確認されています。
- 被害を受けた組織への調査では、侵入経路の6割超がVPN機器でした。攻撃者は、未修正の脆弱性、漏えいした認証情報、弱いパスワード、設定の不備を突いて入り込みます(同)。
- 調査・復旧の費用の総額が1,000万円以上だった組織は半数を超え、復旧までに1か月未満で済んだのは5割強にとどまりました。被害が長期化しやすい傾向があります(同)。
- これが文字起こしサービスの提供元のサーバーで起きれば、サービスが止まるだけでなく、預けた音声と文字起こし結果が盗まれ、公開されうるという形で、利用者に被害が及びます。
② 委託先・サプライチェーンを経由した侵害
IPAの10大脅威 2026(組織)で、サプライチェーンや委託先を狙った攻撃は2位(8年連続8回目)です。IPAの解説書は、攻撃者は強固な対策をしている組織を直接は攻撃せず、その組織が関わるサプライチェーンの中の脆弱な部分を狙って、間接的・段階的に標的へたどり着くと説明しています。強固な対策をしている組織でも、関係する組織や導入しているソフトウェアが足がかりにされるおそれがある、とも書かれています。
- IPAの解説書は事例として、2025年11月に業務の委託先がランサムウェア被害を受け、その委託先に業務を任せていた複数の企業が保有する個人情報が漏えいし、一部とみられる情報がダークウェブ上で公開されたと公表された件を挙げています。委託元の各社も、ランサムウェア被害に遭ったことを順次公表しました。
- 個人情報保護委員会によると、令和6年度に処理した漏えい等の報告には、業務支援システムを運営する1つの事業者のサーバーがランサムウェア被害を受けた事案に関する報告が2,745件含まれていました。1か所の侵害が、多数の利用企業の報告へそのまま広がった例です。
- 個人データの取扱いを委託している場合、個人情報保護委員会への報告は、原則として委託元と委託先の双方に義務があります(連名での報告も可。委託先は、報告義務を負う委託元へ通知すれば、報告義務を免除されます)。預けた側も、提供元の事故を自社の事故として扱う場面があるということです。
文字起こしサービスが、音声認識や要約を別の事業者に任せている場合は、その事業者もここでいう「委託先」に含まれます。
③ ID・パスワードの流用や弱い認証による乗っ取り
提供元のサーバーが無事でも、利用者のアカウントが乗っ取られれば、そのアカウントに預けた音声と文字起こし結果を見られてしまいます。警察庁は、攻撃者が漏えいした認証情報や弱いパスワードを使って侵入する例を挙げています。IPAの解説書には、多要素認証を適用していなかった認証情報が盗まれ、社内ネットワークに侵入されたと公表された事例があります。同じパスワードを複数のサービスで使い回していると、1か所から漏れた情報が別のサービスの乗っ取りにつながります。
この経路は、2段階認証やパスワードの使い分け、共有設定の見直しで、利用者の側でも減らせます。
④ 設定ミス・脆弱性の放置・提供元の作業ミス
個人情報保護委員会は、令和7年度の年次報告で、不正アクセスによる漏えい等について、安全管理措置に不備があったケースが多くみられたと述べています。具体的には、次の3点です。
- VPN機器などの脆弱性が公開され、対応方法も出ていたのに、事業者が放置していた
- ID・パスワードが推測されやすいものだった
- 設定ミスで、データベースへのアクセス制御が不適切な状態になっていた
IPAの「クラウドサービス安全利用の手引き」は、クラウドサービスの事故事例として、ファイル転送サービスの事業者でサーバーの脆弱性を突かれ、480万件を超える利用者の個人情報とログイン情報が漏えいした例、事業者側のメンテナンス作業のミスで5,000件を超える顧客データが消失した例を挙げています。攻撃だけでなく、提供元の作業ミスでも、預けたデータは影響を受けます。
4つの経路に共通すること
- 一度の侵害で、全利用者分がまとめて出うる:データが提供元に集まっているためです。
- 利用者の側では防げない:提供元のサーバーの更新・設定・作業を、預けた側は管理できません。
- 消されるまで、出うるデータとして残る:保管期間とバックアップの扱いが、被害の大きさを左右します。
頻度が高いのは日常運用の事故。それでもサーバー侵害を分けて考える理由
セキュリティガイドでは、実際の漏えいは大規模なサーバー侵害より、共有リンクの誤設定・誤送信・シャドーITといった日常運用で起きやすいと整理しています。この点は変わりません。ただし統計を見ると、日常の取扱いの事故だけでなく、不正アクセスも小さくありません。個人情報保護委員会の令和7年度の年次報告では、漏えい等の報告は17,139件で、報告義務の類型別では「不正アクセス等、不正の目的をもって行われたおそれのある漏えい等」が22.3%を占め、発生原因としては、病院や薬局などでの書類の誤交付やクレジットカード等の誤送付のほか、不正アクセス等によるものが多かったとされています。
そのうえで、サーバー侵害を別に考えるのは、頻度ではなく、規模と防ぎやすさが違うからです。日常運用の事故は、影響が1つの組織・1つの案件にとどまりやすく、共有設定や誤送信防止などの運用で、利用者の側で減らせます。サーバー侵害は、1回で多数の利用者に及び、利用者にできるのは、提供元を選ぶことと、預けるデータを絞ることに限られます。
AIで攻撃する側が速くなった今
ここまでの侵入口の多くは、未修正の脆弱性・漏えいした認証情報・設定の不備でした。AIによって、この入口を見つけて突くまでの時間が短くなる、という評価が、2025年から2026年にかけて各国の公的機関から出ています。
- 英国NCSC(2025年5月):脆弱性の公表から悪用までの時間はすでに数日にまで短くなっており、AIはこれを「ほぼ確実に」さらに短くする、と評価しています。また、高度な攻撃者について、未知の脆弱性(ゼロデイ)の発見と悪用の手法を、AIが2027年まで強化する可能性が「非常に高い」としています。
- 英国NCSC 技術責任者のブログ(2026年5月1日):十分な技能と知識を持つ人がAIを使うと、長年たまった「技術的負債」(古い・脆弱なコード)を、大規模かつ高速に突けることが示されつつあるとし、修正プログラムが大量に出る「パッチウェーブ」に備えるよう求めています。外部に公開している部分を優先して更新すること、更新を既定で自動化すること、サプライチェーン全体でも更新を進めることを挙げています。
- 日本政府の注意喚起(2026年5月18日、重要インフラ事業者等向け):内閣官房国家サイバー統括室などの連名で、AIの悪用によって攻撃のスピードと規模が大きく増すおそれがあるとし、「脆弱性の発見から悪用までの時間が極めて短くなる」とともに多数の脆弱性への対応が必要になるとしています。2026年4月に公表されたClaude Mythos Previewを始めとするフロンティアAIモデルの性能向上を例に挙げ、備えを求めています。一方で、高性能AIを防御にも活用するよう促しています。
- 英国AISI(2026年4月13日):Claude Mythos Previewのサイバー能力を評価し、指示とネットワークへのアクセスを与えた制御された環境で、脆弱なネットワークに対する複数段階の攻撃を自律的に実行できたと報告しています。
- IPA 10大脅威 2026:「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めて3位に入りました。解説書は、攻撃者がAIを助手として使うことで、対処すべきインシデントの頻度・数量が増えたり、平均的な攻撃の技術水準が高まったりしていると説明しています。
読むときの注意:これらは「攻撃が必ず起きる」という予測ではなく、公的機関の評価と注意喚起です。AISIは、評価に使った環境には防御する担当者や防御用のツールがなく、十分に防御されたシステムを攻撃できるかは断言できない、としています。NCSCも、完全に自動化された高度な攻撃は2027年までは起こりそうになく、熟練した攻撃者の関与が引き続き必要だとしています。AISIが強調するのは、セキュリティ更新・アクセス制御・構成管理・ログ監視といった基本の対策の重要性です。
預けた側にとっての意味は2つです。
- 提供元が修正を適用するまでの猶予が短くなる。その適用は、預けた側がコントロールできません。
- だからこそ、預けるデータを絞ることが効きます。保管期間を短くする、機密性の高い音声は預けない選択肢を持つ、提供元の更新体制と事故時の通知を確認する、といった備えです。
「学習に使いません」は約束、「持っていない」は構造
預けたデータがAIの学習に使われるのではないか、という不安に対して、提供元の答えは2種類に分かれます。
約束:「学習に使いません」
提供元は音声や文字起こし結果を持っていて、規約やポリシーで「使わない」と約束している状態です。守られている間は有効ですが、約束である以上、変わりうるものです。
構造:「そもそも持っていない」
音声や文字起こし結果が提供元に届かない仕組みです。持っていないデータは、使いようがありません。約束を信じ続ける必要がありません。
約束が変わりうる場面は、次の4つです。
- 規約の変更:民法第548条の4は、定型約款の変更が相手方の一般の利益に適合するときや、契約の目的に反せず合理的なときには、個別に合意をとらなくても変更できると定めています(変更の内容と時期は、インターネットなど適切な方法で周知する必要があります)。また、米国の連邦取引委員会(FTC)は2024年2月、企業が利用者のデータを集めたあとで、規約やプライバシーポリシーをひそかに遡って変え、AIの学習への利用などデータの扱いを広げることは、不公正・欺瞞にあたりうると警告しました。約束が後から変えられることは、規制当局も現実の問題として扱っています。
- 事業譲渡・合併:個人情報保護法第27条第5項第2号により、合併その他の事由による事業の承継に伴う個人データの提供は、第三者提供の規制の対象外として扱われます。事業が譲渡されれば、預けたデータも承継先へ移りうるということです。
- 委託先・再委託先:個人情報保護委員会は、本人の同意を得ずに生成AIサービスへ個人データを含むプロンプトを入力し、その個人データが応答の出力以外の目的で取り扱われる場合は、個人情報保護法に違反する可能性があるとして、提供事業者が個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認するよう求めています(令和5年6月)。AI要約を備えた文字起こしサービスに預けるときも、「使わない」という約束が、音声認識や要約を任せた再委託先にまで及んでいるかを確認する必要があります。
- 法的な開示要請:個人情報保護法第27条第1項第1号により、法令に基づく場合は、本人の同意なく個人データを第三者に提供できます。提供元が持っているデータは、法的な開示要請の対象になりうるということです。
約束は、守られている間は有効です。ただし、守られ続けるかどうかを、預けた側は確かめられません。構造は、確かめる必要がありません。持っていないデータは、規約が変わっても、事業が譲渡されても、開示を求められても、学習にも第三者提供にも使いようがないからです。
クラウド型を使うなら確認する9項目
クラウド型を使う場合は、被害を小さくし、起きたときに気づけるように、次の9項目を確認してください。IPAの「クラウドサービス安全利用の手引き」(2026年6月)と、個人情報保護委員会の資料の考え方を参考に、サーバー攻撃の観点で整理しました。基本となる規約で確認する7項目(送信先・保管期間・学習利用・データの所在地・暗号化・削除方法・契約終了後)とあわせて使えます。
| 確認項目 | 確認すること | 見るポイント |
|---|---|---|
| 1. 保存期間と自動削除 | 音声・文字起こし結果・要約を何日保管するか。処理が終わったら自動で削除できるか | 保管が長いほど、侵害されたときに出るデータが増えます。「必要な間だけ」にできるかを見ます |
| 2. バックアップと削除の確認 | 削除したデータがバックアップから消えるのはいつか。削除が済んだことを確認する手段(完了の通知など)があるか | IPAの手引きは、利用終了時に、残留データが完全に消去されることを確認するよう挙げています |
| 3. 保存時の暗号化 | 通信(TLS)だけでなく、保存されたデータの暗号化の記載があるか。鍵を管理するのは誰か | 記載がなければ提供元に問い合わせ、回答を文書で残します |
| 4. 2段階認証・SSO・共有設定 | 2段階認証やSSOに対応し、管理者が全員に必須にできるか。共有リンクに期限や閲覧者の制限を付けられるか | 利用者の側で防げる乗っ取りへの備えです。IPAの手引きも、パスワードを共有しないこと、2段階認証を使うことを挙げています |
| 5. 委託先・再委託先と所在地 | 音声認識・要約・クラウド基盤を任せている事業者の一覧、再委託の有無、データを置く国 | 委託先で起きた事故も、利用者の音声に及びえます。IPAの手引きは、再委託している場合の再委託先の管理監督責任を確認項目に挙げています |
| 6. 学習利用の有無と設定 | 入力データをAIの学習・改善に使うか。使う場合の拒否(オプトアウト)の手段。無料プランと有料プランの違い。規約を変えるときの通知方法 | 「使わない」という記載が、いつまで・誰に対して有効かを見ます(前節) |
| 7. 事故時の通知 | 侵害が起きたとき、いつまでに・どの方法で利用者へ通知するかが、契約や規約に書かれているか | 個人データを預けている場合、自社にも報告義務が生じえます。個人情報保護委員会の案内では、速報は発覚から3〜5日以内(目安)、確報は30日以内(不正の目的のおそれがある場合は60日以内)です。この期限に間に合う通知かを見ます |
| 8. 脆弱性対応・更新と第三者の評価 | 外部に公開している部分の更新・脆弱性対応の方針。ISMSクラウドセキュリティ認証(ISO/IEC 27017)やISMAPへの登録などの有無 | 認証は「事故が起きない」という保証ではなく、対策の水準を確かめる手がかりです |
| 9. 停止時の影響と利用終了時 | 稼働率・復旧の目標時間・障害時の通知(SLA)。解約するときに、全データを返してもらえるか、残ったデータを消してもらえるか | サービスが数日止まっても業務が回るかを見ます。IPAの手引きが挙げる項目です |
読み取れない項目が1つでもあれば、機密性の高い音声には使わないのが安全側の判断です。提供元に問い合わせるときは、回答を文書で残してください。審査や監査で通用するのは、口頭の説明ではなく記録です。
端末内で完結する方式なら、何が変わるか
音声認識と要約をお使いのPCの中で処理し、音声と文字起こし結果を提供元のサーバーに預けない方式なら、攻撃の構図が変わります。提供元のサーバーを攻撃しても、そこには盗めるものがほとんどありません。
変わること
- 提供元のサーバーが攻撃されても、そこに音声・文字起こし結果がないので、盗まれようがない
- 1か所の侵害で、全利用者分がまとめて出る構造がなくなる
- 規約の変更・事業譲渡・開示要請があっても、提供元の手元にないデータは使いようがない
- 音声が委託先・再委託先に渡らない
- 処理に提供元のサーバーを使わない方式なら、提供元のサーバーが止まっても、処理は続けられる
変わらないこと
- お使いのPCがランサムウェアに感染するリスク
- PCの紛失・盗難
- 保存したテキストの共有・バックアップの扱い
- OS・ソフトの更新やアカウント管理(利用者の責任)
- 提供元が別の目的で持つ情報(連絡先など)は、提供元が守る必要がある
なお、「ローカル」「オフライン」とうたっていても、実際には音声や文字を外部へ送る機能を持つ製品があります。確認の手順は、「Whisper搭載」と書かれたツールの確認手順にまとめています。公式情報に通信先が書かれているか、ネットワークを遮断しても文字起こしを完走できるかを、実際に試してください。
本製品の場合:提供元が攻撃を受けたら
ここからは、当サイトで提供している「完全ローカル文字起こし」(Windows向け)についての事実だけを書きます。提供元は、日本国内の個人事業である Hoshimono Design です。
音声・文字起こし結果の扱い
- 音声データ・文字起こし結果・要約結果は、既定では外部へ送信しません。AI要約・AIチャット・話者分離も、お使いのPCの中で処理します。
- 例外は、利用者が自分で設定した場合だけです。「完了メール」を設定すると、利用者が指定したメールサーバーから、利用者が指定した宛先へ、「Notion連携」を設定すると、利用者が指定したNotionのデータベースへ、文字起こし結果(文字データのみ)が送られます。どちらも、提供元のサーバーは通りません。
- アプリが既定で接続するのは、次の2つだけです。①ライセンスの有効期限の確認(送るのは、メールアドレス・ライセンスキー・アプリのバージョン・アプリが生成したランダムな端末識別子で、音声と文字は含みません)。②更新プログラムの取得(利用者が更新のボタンを押したときだけ)。
提供元のサーバーが攻撃を受けた場合
| 場面 | どうなるか |
|---|---|
| 漏れうる情報 | 提供元が保有する情報に限られます。ライセンスのご登録・ご契約に使う情報(メールアドレス、ライセンス情報、請求書払いの場合は請求書の宛名など)と、お問い合わせフォームの内容です。連絡先やお問い合わせの内容が漏れうる点は、隠さずお伝えします。 |
| 漏れない情報 | 音声データ・文字起こし結果・要約結果は、提供元に届かないため含まれません。クレジットカード情報は決済代行会社のPAY.JPが処理し、提供元を経由しません。提供元は、カード情報を一切取得・保持していません。 |
| AIの学習に使われるか | 使われません。「使わない」という約束ではなく、そもそも提供元の手元にないデータなので、規約の変更や事業の譲渡といった将来の事情があっても、学習に使いようがありません。 |
| 提供元のサーバーが止まったら | 文字起こしや要約は続けられます。ライセンスの有効期限の確認に失敗しても、14日間の猶予があり、処理には影響しません。ネットワーク不要のオフライン発行のライセンスなら、以後の認証通信は発生しません。買い切り(永続ライセンス)には、有効期限の確認自体がありません。 |
| 更新の配布側が乗っ取られたら | 更新情報には電子署名(Ed25519)が付いており、アプリに埋め込んだ公開鍵で検証してから適用します。検証に失敗したものや、古い版へ戻そうとするものは適用しません。配布側のサーバーに偽の更新を置かれても、アプリは適用しません。 |
通信先・保存先・ログ・更新など、導入審査で問われる項目への回答と、「G. 提供元が攻撃を受けた場合」の詳しい回答は、セキュリティチェックシート回答集にまとめています。
「攻撃を受けても漏れる情報が限られる」ことと、「攻撃を受けない」ことは別です。提供元のサーバーも、ほかのシステムと同じく攻撃を受けうるという前提で、音声と文字起こし結果を預からない形にしています。
端末内で完結しても残るリスク
端末内で完結する方式は、攻撃の対象を、提供元のサーバーからお使いの端末へ移します。リスクが消えるわけではありません。
- 端末そのもののランサムウェア感染:端末が感染すれば、その端末にある音声と文字起こし結果は、暗号化や窃取の対象になりえます。ただし被害は感染した端末の分にとどまり、ほかの利用者の分まで1回でまとめて出る構造ではありません。
- 端末の紛失・盗難:暗号化されていないPCは、中身がそのまま読まれます。
- バックアップ:警察庁によると、バックアップは元のデータと一緒に暗号化されることが多く、対策としてオフラインのバックアップなど、資産の管理が挙げられています。
- 要約や共有での外部送信:保存したテキストをクラウドの生成AIに貼り付けたり、共有リンクを誤設定したりすれば、そこから外に出ます。
備えとして、警察庁は、ソフトウェアの更新、適切なパスワード管理、アクセス権の適切な設定といった基本の対策を挙げています。これに加えて、ウイルス対策、ドライブの暗号化(Windowsの BitLocker など)、保存先フォルダの権限の見直し、ネットワークから切り離したバックアップを組み合わせてください。具体的な運用は、文字起こしセキュリティガイドの「安全に運用する7つの実践」にまとめています。要約まで端末内で完結させる方法は、ローカルAI要約ガイドをご覧ください。
よくある質問
出典
本文で使った数値・事実の出典です。確認日は2026年10月12日です。各資料は更新されることがあります。文字起こしサービスだけを対象にしたサーバー攻撃の被害統計は、公的機関の資料では確認できませんでした。そのため本ページでは、クラウドサービス全般とランサムウェア全般の公的資料から、一般化して書いています。
- IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」(2026年1月29日決定):組織向けの順位。1位 ランサム攻撃による被害(11年連続11回目)、2位 サプライチェーンや委託先を狙った攻撃(8年連続8回目)、3位 AIの利用をめぐるサイバーリスク(初選出)。
- IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026[組織]解説書」(2026年3月):二重脅迫とノーウェアランサム(p.10)、多要素認証を適用していなかった認証情報が窃取された事例(p.11)、サプライチェーン・委託先を狙った攻撃の説明と、2025年11月の委託先へのランサム攻撃の事例(p.13〜14)、AIを助力に得た攻撃の増加(p.17)。
- 警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(英語版):ランサムウェア被害の報告226件、二重恐喝が大きな割合を占めること、中小企業が約6割・製造業が約4割、侵入経路の6割超がVPN機器、調査・復旧の費用が1,000万円以上の組織が半数超・1か月未満で復旧できたのは5割強、バックアップも暗号化されることが多いこと、オフラインのバックアップ等の対策(特集II)。
- 個人情報保護委員会「令和7年度年次報告」(2026年7月7日公表。本文PDF、概要PDF):漏えい等報告の処理17,139件(前年度19,056件)、不正アクセス等不正の目的のおそれがある漏えい等が22.3%、発生原因(p.9)、不正アクセス事案の指導で多くみられた不備(p.10)。
- 個人情報保護委員会「令和6年度年次報告の概要」(2025年6月):1つの事業者のサーバーへのランサムウェア被害に関する漏えい等報告2,745件(p.2)。
- 個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」:速報は発覚日から3〜5日以内、確報は30日以内(不正の目的のおそれがある場合は60日以内)。/同「委託先において個人データが漏えいしてしまった場合の対応」(Q&A):委託元と委託先の双方に報告義務があること、委託先は委託元へ通知すれば免除されること。
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(2023年6月2日):個人データを含むプロンプトを入力する場合に、提供事業者が機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること。
- IPA「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」(2026年6月):事業者と利用者の責任分担(p.8)、クラウドサービスの事故事例(p.7)、選定・運用・セキュリティ管理の確認ポイント(p.12〜29)。
- 内閣官房 国家サイバー統括室ほか「AI性能の高度化を踏まえたサイバーセキュリティ対策の強化について(重要インフラ事業者等に対する注意喚起)」(2026年5月18日。厚生労働省サイト掲載の参考資料)。
- 英国NCSC「Impact of AI on cyber threat from now to 2027」(2025年5月7日):脆弱性の公表から悪用までの時間が数日に短くなっていること、ゼロデイの発見・悪用、完全に自動化された高度な攻撃は2027年までは起こりそうにないこと。
- 英国NCSC「Preparing for a 'vulnerability patch wave'」(2026年5月1日、技術責任者のブログ)。
- 英国AISI「Our evaluation of Claude Mythos Preview's cyber capabilities」(2026年4月13日):模擬環境での評価結果と、その限界(積極的に防御する担当者がいないこと)。
- 民法 第548条の4(定型約款の変更)、個人情報の保護に関する法律 第27条第1項第1号・第5項第2号(e-Gov法令検索)。
- 米国FTC「AI (and other) Companies: Quietly Changing Your Terms of Service Could Be Unfair or Deceptive」(2024年2月13日)。
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※ 本記事は一般的な情報であり、法的助言ではありません。具体的な事案や契約の判断は、自社の法務部門や弁護士など専門家にご相談ください。第三者の資料の内容は、各提供元の最新の記載が優先します。
音声を預けない文字起こしを、無料で。
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